【書評】悪徳官僚に学ぶ 戦略的ゴマすり力(中野雅至)

悪徳官僚に学ぶ 戦略的ゴマすり力

悪徳官僚に学ぶ 戦略的ゴマすり力 (ディスカヴァー携書)
中野 雅至
ディスカヴァー・トゥエンティワン
売り上げランキング: 174876

■目次
序章 サバイバル官僚は、なぜ、「威張る政治家」を説得できるのか?
第1章 単なる受験秀才官僚が、なぜ、豪腕政治家を丸め込めるのか?
第2章「ゴマすり力」は、最強のサバイバル術
第3章 ゴマすりを成功させる五つの法則
第4章 東大法学部卒のエリート若手官僚がなぜゴマをすれるようになるのか?
第5章 誇りあるゴマすり VS 卑屈なゴマすり――ゴマすりは自分の市場価値に依存する

■本の概要(出版社の紹介文より)
「クビになりやすいが次の職を見つけやすい」米国、「次の職を見つけにくいが、いったん正社員になると簡単にクビにならない」仏独。それに対して、「次の職を見つけにくいが、正社員でも陰湿な手段でクビにされる可能性がある」日本の労働市場。そこはまた、学歴、経歴、実績といった定量的能力よりも、人柄、人脈、愛嬌、コミュニケーション能力といった定性的能力で就職や出世が決まる曖昧模糊とした世界でもあります。先行き不透明ないま、こんな曖昧な労働市場で生き抜く確かな方法ははたしてあるのでしょうか? あるとすれば、それはなんなのでしょうか? 同志社大学文学部出身の異色の元キャリア官僚である著者は、それこそが、「ゴマすり力」であると説きます。高慢なイメージで語られることの多い官僚の意外なまでの腰の低さと褒める力。それに基づくプレゼン力と交渉力。組織ぐるみの根回し体制と巧みなコンセンサスづくり――そこには美学といってもよいほどの哲学と技術がありました! いままで誰も明かさなかった本音のコミュニケーション技術にして最強のサバイバル術「ゴマすり力」をはじめて徹底解剖。官僚? ゴマすり?と毛嫌いしないで、学べるところは学んでしまいましょう。

■ポイント
1.「ゴマする力」は技術であり、哲学である

サラリーマンのなかには、自分より偉い人を見ると、自然にゴマをすってしまう人がいますが、あれば「誇りなきゴマすり力」です。キャリア官僚はそんな卑屈な人間たちではありません。あくまで、役所や自分がサバイバルするために、たとえイヤな奴であったとしても相手を褒めるというにすぎません。(p.46)

このたとえが面白いですね。著者は一歩引いた視点で、官僚のゴマすり力を分析しているような立ち位置で文章を綴られているのですが、さまざまな歴史的背景のもと、サバイバル術とまで言っているのはスゴいなぁ~と。民主党政権になって、若干変化してきているようですが、その民主党政権ももう終焉を迎えようとしていますからね。今後出てくる政党が、官僚とどうつきあっていくかも含めて、注目ですね。

2.プライドの高い受験秀才をゴマすり若手官僚に変質させる、霞ヶ関の恐るべきコミュニケーション能力OJT

こんなしたたかな人たち・組織を相手にするなかで、世間知らずの若手官僚は徐々にコミュニケーション能力に磨きをかけるだけでなく、ゴマすりを覚えていきます。ふつうに話しているだけでは納得してくれず、相手にゴマをすらないと話しが進呈しないことを身をもって覚えていくのです。(p.177)

この過程のなかで、単に頭がいいというだけで出世できるのには限界があって、それを超えるためのさまざまなプロセスが歴史的に根付き、OJT的な役割を果たしているようですね。この辺のステップの話についても詳しく書かれていて、興味深く読み進めることができました。ITが発達しても電話での交渉がコミュニケーション能力を成長させる箇所についても納得かな?と。

3.情報・人脈は市場価値と同等だが、ゴマすりは市場価値以上の価値を持つ

ゴマすり力が、市場価値×2倍以上になる理由は、それほど複雑なものではありません。ゴマすりという行為は、誰がやっても基本的に相手に嫌われるものではないからです。(中略)ゴマをする人の市場価値が高ければ、すられる相手の喜びの増し方がまったく違うレベルのものになるからです。(p.238)

自分より下だと思っている人から褒められてもうれしくないが、目上の立場の人から褒められると倍増以上の喜びを与えることができるほか、人から褒められないような事柄に注目して褒めるという手法もスゴイなぁ~と。普段からやっていないとなかなか実践することは難しいかと思うのですが、大切なことですね。

■感想
著者は厚労省を経て、大学の准教授となられた経歴の持ち主ということもあり、さまざまなメディアで報道がなされる官僚のイメージを内側から実情を記されているといった内容でした。タイトルもゴマすり力ということで、ちょっと官僚のイメージと違うかな?と思って読んでいたのですが、何故そうなるのかに至る説明が具体的でわかりやすく、人となりもわかるような文章で綴られていて、サクサクと読み進めることができました。最近では、官僚を辞めた人がいろいろなメディアに登場したり、本を出したりするのが珍しくなくなっていますが、このようなテーマはあまり見たことがなく、組織の体質だけでなく、人となり的な内容まで触れられている希有かつ説得力のあるのものかな?と思いました。

■余談
あとがきの本書を書くに至ったエピソードも印象的でした。たまたま関西の番組でコメンテーターとして一緒になった小宮一慶さんが気さくに声をかけてくれ、ディスカバーの干場社長を紹介してくださったとのこと。

■関連情報
中野雅至の近未来予測研究所


  1. コメントはまだありません。

  1. トラックバックはまだありません。

WP-SpamFree by Pole Position Marketing

ユナイテッド・シネマ 最新映画を自動更新でご紹介!