【書評】エスケープ・ベロシティ キャズムを埋める成長戦略(ジェフリー・ムーア)

エスケープ・ベロシティ キャズムを埋める成長戦略

エスケープ・ベロシティ キャズムを埋める成長戦略
ジェフリー・ムーア
翔泳社
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■目次
第1章 脱出速度と力の階層
第2章 カテゴリー力
第3章 企業力
第4章 市場力
第5章 製品力
第6章 実行力

■本の概要(出版社の紹介文より)
『キャズム』のムーアがハイテク業界における20年以上にわたるコンサルティングの経験から戦略フレームワークをまとめた書籍。基本テーマは、グローバリゼーションがもたらす不連続な変化に対応するために、過去の繰り返しではなく、真に革新的な戦略をどのように立案すべきかという点である。著者の豊富なコンサルティング経験に基づき、著名IT企業の事例が盛り込まれる。また、過去のやり方を踏襲していてはいけないという提言は、まさに現在の日本企業にこそ当てはまるかもしれない。 原書タイトルにもなっている「エスケープ・ベロシティ」はロケットが地球の重力圏を離れて宇宙に飛び立つための「脱出速度」(第二宇宙速度ともいう)を指す。抵抗勢力に打ち勝ち、過去のやり方から離脱するための戦略立案にたとえている。

■ポイント
1.企業力

企業力を獲得しようと思うならば、「一にリーダーシップ、二にマネジメント」の発想で行かなければならない。脱出速度を実現できない企業はほぼ常にこの逆、つまり、マネジメントを優先してリーダーシップを二の次にするというパターンに陥っている。多くの時間、才能、関心を自分自身に向けていれば必然的にこのような結果になることから、こうした落とし穴にはまるケースは多い。(p.24)

企業だけでなく、政治も含め、リーダー不在の時代と言われていますからね。アップルなどもジョブズ氏がいなくなって、今後の舵取りが不安視されていますしね。ただ、元気のある企業には、リーダーシップのあるカリスマ経営者がいるので、その経営者から学ぶべきことは多いかな?と。うまくリーダーシップを発揮できる後継者を育成できるか、それは、さまざまな企業で今、試行錯誤されている段階かと思いますが、その育成力も含めて、今後の世の中的な動向に注目ですね。

2.コアの宣言

自社だけが提供できるユニークな能力により、カテゴリーを良い方向に導き、ターゲットとする顧客やパートナーを十分に満足させることができるため、顧客やパートナーが自社を成功させるために何でもしてくれる状況になるのである。何がそれを可能にするのか。それがクラウン・ジュエルだ。(p.104)

すべての経営陣が質問を受けたときに全会一致で同じ方向性を回答できるような企業力が欲しいですよね。ここでは、クラウンジュエルの例として、アップル、IBM、グーグル、オラクル、アマゾン、ピクサ-が挙げられていますが、ジョブズ氏はこういうクラウンジュエルをうまく発掘できる能力に秀でていたんですよね。既存の高い品質を安い料金でという過当競争ではなく、長期にトップとして君臨していける独自の方向性について、常日頃から考えて行きたいですね。

3.差別化イノベーション

スタートアップ企業とは異なり地位を確立した企業には失うものが多い。ブランド認知度、顧客ロイヤリティ、市場での地位などが代表的だ。何らかの過ちを犯せば訴訟の対象になることも多く、さらにリスクは高くなる。そして、最後のポイントとして、個人のキャリアという点でいれば、ほとんどの企業は職歴に汚点のないマネージャーを重用しがちであり、過去に大きな間違いをしたリーダーに最上位の職責を与えない。(p.190)

特に、日本の会社に多いですが、米国ではどうなんでしょうね。ここで紹介されているということは、米国の大企業でもそういう傾向があるということなんでしょうかね? 結局、そういう文化的な背景がダイナミックな経営を行うための妨げとなっているとのこと。そうでない経営者の例として、スティーブ・ジョブズ氏、ビル・ゲイツ氏、ラリー・ペイジ氏、セルゲイ・ブリン氏、シャイ・アガシ氏、ジェフ・ホーキンス氏、ジョン・チェンバース氏、ジミー・ウェイルズ氏などが挙げられていました。初めて聞いた人が3人いましたが、Wikipediaで(笑)調べて納得しました。

■感想
大企業で新規事業を行おうとしている人向けの理論といった印象を受けました。さまざまな理論とともに具体的に例示されている企業の戦略はアップル、グーグル、マイクロソフトなど、米国の有名大企業ですしね。今までの著書との違いは、この本のタイトルにもある通り、脱出速度。業績が低迷しているという重力からこの脱出速度を高めることで、いかに衰退となってしまったカテゴリから成長分野へシフトしていけるか、また、その必要性について書かれていました。そこで必要とされるのが5つの力。目次でいう第2章~第6章がそれぞれの力の解説といった感じの展開です。ただ、ちょっと自身の経験などとシンクすることができないので、難しいかな?という面と、読みにくいといった印象を受けた1冊でした。

■余談
2011年に刊行された原題「ESCAPE VELOCITY」の翻訳本。著者のジェフリー・ムーア氏はキャズム理論や「ライフサイクルイノベーション」、「トルネード」などの著者としても有名ですよね。

■関連情報
スマートフォンは現在”キャズム”にある – ジェフリー・ムーアからの提言
『エスケープベロシティ』解説(第1回):カテゴリー力(1) 凋落したカテゴリーで地位を築いても意味がない?


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