【書評】ポーターの『競争の戦略』を使いこなすための23問(牧田幸裕)

ポーターの『競争の戦略』を使いこなすための23問

ポーターの『競争の戦略』を使いこなすための23問
牧田 幸裕
東洋経済新報社
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■目次
PART1 なぜ事業戦略は機能しないのか?
PART2 なぜ『競争の戦略』を使いこなせないのか?
PART3 顧客に「有意差」を感じさせられるか?
PART4 簡単に真似されない差別化を実現できるか?
PART5 次から次へと差別化を実現できるか?
PART6 プロフェッショナルの戦略立案担当者になれるか?

■本の概要(出版社の紹介文より)
ポーターの基本戦略を使いこなして、尖った差別化を機能させるためにはどうしたらいいのか。戦略コンサルタント出身の著者が理論を結果に結びつける実践法をQ&A形式で解説する。

■ポイント
1.ハンバーガー業界に学ぶ競争軸

お互いの領域に踏み込めないような戦略基本パターンを構築することができれば、業界は熾烈な覇権争うから脱却でき、「手詰まり型事業」に陥らなくなる。したがって、「手詰まり型事業」に陥らないためには、同じ競争軸で競争をするのではなく、違う競争軸で競争する必要があるといえる。(p.71)

牛丼業界やプリンター業界の熾烈な争いの話が展開されたあとのハンバーガー業界の話。マクドナルドも現:原田社長が就任するくらいまでは、価格競争で他業態に挑んでいましたが、その後一転、バリュー戦略で価格もどんどん値上げされているので、以前のマクドナルドを知っている人にとっては、最近のマクドナルドは高いという印象を持っている人が多いかな?と。まぁ、他のハンバーガーやサブウェイなどと比較すると、まだまだ安いマクドナルドですが、同業第2位のモスバーガーと比較すると、うまく棲み分けができているなぁ~と感じますよね。同じハンバーガーなのに、別の食べ物のような印象ですもんね。すべての業種でこのような棲み分けができればいいのですが、相手がいることなので、その辺は、うまく戦略を練る必要がありますよね。

2.バリューネットワークでビジネスモデルの差別化を機能させたバンダイ

番組は優良なコンテンツであり、エンターテイメントとしてそれ自体面白いものであるのだが、一方で、番組自体が丸ごとCMである。番組の中でライダーやスーパー戦隊が活躍すれば、その世界観に「なりきれる」変身ベルトや武器の反則になる。ロボットが活躍すれば、ロボット玩具の反則になる。(p.159)

ガンダムなども同様ですよね。また、女性向けではプリキュアとかですかね。最近では、レベルファイブがゲームとアニメを軸に、それ以外のプラモデル(ダンボール戦機)、カードゲーム(イナズマイレブン)など、さまざまな業種を巻き込んだメディアミックス企業としてよくメディアなどでも取りあげられていますが、元祖というか、バンダイは、それがメインですからね。以前、仮面ライダーの成功は、視聴率よりも変身ベルトの売上本数を基準にはかられていると、何かの記事で読んだのですが、上記で言われていることは、まさにそれですよね。ヒーローものなどが日曜の朝に放送されているのも、放送後に家族で出かけると、行った先には商品が売られているといった展開を演出するにはもってこいの時間帯ですよね。

3.柳井社長は最終形のイメージを持っているので、経営者としての判断ができる

柳井社長は、とにかく撤退が早い。それは、ご臨終の基準が明確だからだ。日本企業の経営陣は、柳井社長の判断から学ぶところは大のはずだ。そもそもの目標は、次から次へと差別化を実現することである。これが、企業の競争優位性を定義するからだ。そのためには、企業の中でも少なくとも社長と事業担当リーダーは、事業レベルであれ製品・サービスレベルであれ、ご臨終の基準を明確にしなければならない。感情に流されてはいけない。(p.190)

日本人って撤退が苦手なような印象を受けますよね。よく、株やFXなどの投資本にも、ロスカットルールを明確にして、感情に負けずに執行すること、などと書かれていますが、それがうまくいかないために、想定以上の損失を抱えてしまっているという状況も多いでしょうね。また、現在の為替の推移もいろいろと先の見えづらい状況になっていますし、任天堂などが3DSの価格を1万円下げるなどの英断を行うタイミングなどについても、そのタイミングだったから……なんでしょうね。

■感想
なぜ、日本企業の経営戦略は結果を出せないケースが多いのか?からはじまるQとそれに対するAという形で、さまざまなQ&Aが23問用意され、それぞれの設問ごとに質問の型や考える時間なども設定され、設問に対して、自身の考えを持ちながら、ポーターの競争戦略などの引用などからなる著者の主張を読み解くことができるといった構成でした。一見難しそうなテーマですが、牛丼屋のコストリーダーシップやインクジェットプリンターの覇権争い、マクドナルドとモスバーガーの戦略の違い、カメラのキタムラのフォトブック、ラーメン二郎、仮面ライダーのベルトなど、こういう戦略ものの本にしては、日本のさまざまな事例で紹介されているので、身近に感じるし、具体的でわかりやすく解説されているといった印象を受けました。

■余談
季刊「Think!」の2010年春号~2011年冬号かで連載された「機能する差別化:収益性を高めるビジネスモデルの作り方」に大幅加筆修正を加えたものとのこと。ちょっと値段が高い印象ではありますが……。著者は、ハーバード大学の大学院に留学され、アクセンチュアなどでの職歴もある、信州大学経営大学院の准教授。

■関連情報
准教授 牧田幸裕の戦略的視座
雑誌 Think!


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