【書評】普通の人たちを予言者に変える 「予測市場」という新戦略―驚異の的中率がビジネスと社会を変革する(ドナルド・トンプソン)

普通の人たちを予言者に変える 「予測市場」という新戦略―驚異の的中率がビジネスと社会を変革する

著者:ドナルド・トンプソン
出版社:ダイヤモンド社
初版発行:2013.01.19
ジャンル:ビジネス
カテゴリ:データベース
価格:2000円+税
ページ数:336p
満足度:★★☆☆☆

■目次
第1部 市場を使って予測する
第1章 まったく新しい商品開発の仕組み
第2章 予測市場とは何か
第3章 スポーツと映画を市場で予測する
第4章 選挙結果を市場で予測する
第5章 市場はどのように可能性を予測しているか
第6章 予測市場は何の代わりになりうるか?

第2部 予測市場を社内に作る
第7章 グーグル──会社のあらゆる部分が予測市場
第8章 ベスト・バイ──予測市場が導入されるまで
第9章 熱心な支持者が社内市場に命を授ける
第10章 トップダウンでもうまくいくのか

第3部 これからの予測市場
第11章 独創的に応用する──医療からレアル・マドリードの経営まで
第12章 国家の安全を守るために──テロリストの市場
第13章 効率的な行政──法定速度から結婚の是非まで
第14章 長期予測にはメリットがいっぱい

第4部 予測市場を機能させるには
第15章 答えを懼れる人々
第16章 無視された警告
第17章 潜水艦スコーピオン号はどこに沈んでいるのか
第18章 予言者になるために

■本の概要(出版社の紹介文より)
選挙の得票率、スポーツの勝敗、新プロジェクトの成否まで、あらゆる事象を驚異的確率で当てる「予測市場」。専門家の知識をしのぐ群衆の知恵の威力とは何か。グーグル、モトローラ、マイクロソフトなどの先進的企業がすでに商品開発や意思決定に採用しているこの新手法のメカニズムをさまざまな事例を元に解明する話題作!

■ポイント
1.ピラミッド型の組織構造はまさに「墓場」

「最悪なのは、ピラミッド型組織では、上層部の人々の方が下層部の人々よりも賢いと考えられていることだ」と彼は続ける。ラヴォワがピラミッド構造を嫌うのは、下からの情報がシャットアウトされるからではなく、上層部の人々が常に正しい判断を求められるからだという。意志決定のプロセスを全従業員に開放すれば、貴重なアイデアが生まれ、ウィン・プレイ・ラーンのような製品も生まれる。(p.13)

最近よくメディアなどでも紹介されている通り、旧来型の日本の会社のように決裁に時間がかかるというプロセスがどんどん省かれ、社長に直接プレゼンテーションができ、フィードバックを受けられるといった感じの企業が増えていますよね。そういう意味でも、ピラミッドの間接数が多い企業ほど、どんどんダメになっていくのでは?と感じました。日本企業は、特に海外の交渉において、持ち帰りしてしまうのに対し、韓国などの会社では、担当者にある程度裁量が認められていて、その場で決断できるので、そこで交渉に負けてしまうといったこともあるそうですね。

2.グーグル社内の予測市場

グーグルは予測市場の開設には打ってつけの組織だった。崎に経営者が金儲けの仕組みを考え、そのあとで製品を開発する大半の企業とは異なり、グーグルでは先に発明者が問題の解決方法を考え、そのあとでソリューションの収益化方法を考えるという文化があった。そのため、斬新な方法で問題を特定し、解決するというのは、グーグルの文化にはぴったりなのだ。(p.110)

Googleの80%ルールは有名ですよね。日本では裁量労働制を敷く会社が増えて来ているものの、結局は残業代の抑制としか活用されていないような印象なのが残念で、固定給でそれなりに働くという会社の風潮があるので、その時間の使い方の裁量も従業員に何%か譲渡すれば、もっと戦後のように新製品がどんどん生まれてくるのでは?とも思うんですけど、どうなんでしょうね? まずは、業務のムダを省いて効率化させ、総体としての時間を削減する必要がありそうですが……。

3.サブプライム問題はなぜ起こったか?

予測市場に適切な疑問を掲げていれば、問題は明らかになっていただろうか? 金融についてある程度の知識しかない投資家が参加するだけでも、問題が明らかになっていたに違いない。しかし、そのような予測市場を開設して運営するメリットなど、誰にあっただろうか? おそらく誰にもない。投資銀行にとってはまずメリットがない。予測市場でリスクが高いという結論が出れば、投資銀行の株価は下落するからだ。それに、ウォーレン・バフェットやリチャード。ケイン・ペリーの警告でさえきっぱりと無視した人々が、特命の市場の警告に耳を貸したとは考えにくい。(p.248)

これもよく言われていることですよね。業界人が一般人の感じる違和感を無視するケース。自分の置かれている業界の常識にとらわれずに、過熱感を感じると共に、一般の人はどう感じるか?など、説明できるスキルやそういう人にも理解できる事象なのか、常にチェックしておく必要がありますよね。

■感想
グーグル関連の描写については、すごく具体的でわかりやすかったのですが、それ以外の部分はいまいちな印象。うまくまとまっていないというか、わかりづらい印象でした。確かに、旧来の発想で経営が行われていると、経営者の力に依存度が集中してしまいがちですが、最近のソーシャルメディアなどの発達を見ても、横のつながりというか、小さなユニットごとに横断的にチームを組んで仕事をした方がうまくいくような事例がたくさん起こっていますからね。そういった意味でも、今後は、小さい会社や従業員が経営的な発想をもって活躍しているような会社が伸びていくのでしょうね。

■余談
著者は経済学者で、トロントにあるヨーク大学シューリック・スクール・オブ・ビジネスのマーケティング名誉教授とのこと。

■関連情報
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「情報の爆発は止まらない」–“20%ルール”で進化するグーグル


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