【書評】[新版]MADE IN JAPAN(下村満子、盛田昭夫)

[新版]MADE IN JAPAN

[新版]MADE IN JAPAN
[新版]MADE IN JAPAN

posted with amazlet at 12.02.04
下村 満子 盛田 昭夫
PHP研究所
売り上げランキング: 16583

■目次
第1章 戦争―生還と希望
第2章 平和―新たな人生の始まり
第3章 世界に売り出す―前進の過程
第4章 経営について―企業は家族だ
第5章 アメリカ式と日本式―その相違
第6章 競争―日本企業のエネルギー源
第7章 テクノロジー―生きぬく手段
第8章 日本と世界―疎外と調和
第9章 世界貿易―危機を避けるために

■本の概要(出版社の紹介文より)
国内需要が減る一方の状況で、日本企業は海外市場の開拓を加速させている。とくにこれまで手付かずに近かったASEANや中東、ブラジルなどの新興国市場で、韓国、中国や欧米企業とのガチンコ勝負が熾烈を極めている。国際的な企業戦争を勝ち抜く上で、どのような営業活動を行なうべきか、戦略立案のヒントは何か。ソニー創業者である盛田昭夫氏は、かつて、「安かろう、悪かろう」と言われた日本製品を未開拓のアメリカ市場に売り込み、大成功を収めた。 本書で綴られる、盛田氏自身の「一筋縄ではない新市場の開拓ものがたり」は、世界の最前線で闘う日本人ビジネスマンに、大きな勇気と知恵を授けてくれるだろう。戦後を代表する名経営者による唯一の「自伝的ビジネス戦略論」の書。

■ポイント
1.苦心の社名「SONY」

提案をすべて検討した結果、われわれはいかなる変更も行わないことを決めた。SONYはまだ十分若々しく見えたからだ。壊れていないものを修理する必要はないのである。(p.111)

商標は企業の命であるという主張のもと、ソニー・チョコレートというお菓子を販売してきた会社と争ったとのこと。日本史上はじめて、カタカナの会社名だったほか、特許や登録商標に関して争われた裁判だった模様。上記引用は、ソニー創立35周年を迎えたときに書体を変えるかどうか迷ったときの一節。恐らく、今後も変えることはないんだろうなぁ~と思う。

2.株主のための企業か、従業員のための企業か

日本では、企業にとって最も大切なものは、従業員の志気だと考えられている。彼らが会社に対する意欲を失ったら、その企業の将来性は危ない。配当を多くして内部留保を失うことは、彼らにとっては雇用の安定がおびやかされることである。財産を売る会社に未来はないとわれわれは考える。(p.268)

まぁ、この発想が終身雇用制につながっているんですよね。文化の違いもあり、日本の株主は企業に対して意見を述べることも少ないし、配当が少なくてもあまり文句を言わない。それに比べて、海外の投資家は多くの配当を要求するだけでなく、企業が簡単に従業員を解雇したりする。当時、ストックオプションなどの制度があったかどうかは不明だけど、結局、役員クラスだけの制度ですからね。

3.テクノロジーとマネジメント

しかし今、すべての日本企業は重大な課題に直面している。それは新しいテクノロジー、新しい開発、新しい製品のマネジメントをいかにすすめていくということだ。この先、これまでにも増して、数多くの新しいシステムについてのアイデアが必要とされるのは明らかである。将来必要とされるすそ野の広いシステムを作り出すためには、持てるすべての技術を結集しなければならない。それには、これまでのやり方を大きく変えていかなければならない。(p.351)

今のソニーの経営陣はこの言葉をどうとらえているだろうか? 技術職のリストラが行われたり、テレビでの大幅な連続赤字など、アップルがiPodを発売したくらいのタイミングから、ソニーらしい製品というのが生まれなくなっているような気がする。今後どうなっていくかについてはわからないけど、ソニーらしい製品といえる製品が世に出て、それを使うことでライフスタイルが変わるような体験をしてみたいものですね。

■感想
断片的にではあるけど、どこかで聞いたようなエピソードとして知っている話しもいくつかあった。それだけ、いろいろな所で語り継がれたり、引用されているということなんでしょうね。内容としては、盛田さんの少年時代からソニーの成功までが描かれた自伝的な要素と経営哲学的な要素に分けられると思います。1986年当時、どれだけの人に影響を与え、その後、どれだけの企業に影響を与えてきたか、計り知れないなと。今でこそ、グローバル化がすすみ、不況や震災に直面し、当時とは事情が違うことは確かなんですが、ものづくりにかけるこだわりや想いを学ぶといううえでは、濃厚な1冊ではないかと思いました。

■余談
1986年に朝日新聞社から出版された「MADE IN JAPAN - わが体験的国際戦略」の新版とのこと。もともとアメリカで発売された本が翻訳され、国内で発売、文庫化されるなどしていたが、震災などの影響もあり、当時の焼け野原から立ち上がった日本の姿を描いた内容ということで、新版として発行されたとのこと。なんだか、数字や情報が修正されていなかったり、追録がないだけに出版社の戦略的意図が見え隠れするんだけど、市販するまえに、まず、ソニーの経営陣、社員が読むべき本では?とも思うのですが……。

■関連情報
盛田昭夫ライブラリー


  1. コメントはまだありません。

  1. トラックバックはまだありません。

WP-SpamFree by Pole Position Marketing

ユナイテッド・シネマ 最新映画を自動更新でご紹介!